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【基礎知識】基本的な神道式参拝法

【一般的な流れ】
他人の家に訪問するとき「作法」というものがあるように、神様の住む神社へ参拝に行く際にも一般的な作法が存在する。おそらく大いなる愛を持つ神様にとっては、作法は取るに足らないことにすぎず、守らないからといって罰を与えるようなことはないだろう。また、「基本的な作法」は、明治8年に「神社祭式」によって統一されたもので、それまでは各派それぞれ多少の違いがあった。とはいえ、作法は、マナーであり、エチケット。「する/しない」は、その人間の心のレベルに関する問題だといえよう。

 ▼  境内に入る前にまず、鳥居の前で一礼する
 ▼  参道は、中央を避けて歩く
 ▼  手水舎で手と口を清める
 ▼  拝殿の前で二礼二拍手一礼する
 ▼  鳥居を出るときに振り返り、一礼する

【鳥居の前で一礼】
鳥居は聖域と俗界の境に立てられる目印である。鳥居の内側は神様がお鎮まりになる御神域。今では鳥居の前で礼をする人はほとんどいなくなったが、聖域に一歩足を踏み入れる前に一礼するのが正式な作法とされている。

【参道は、中央を避けて歩く】
参道の真ん中は「正中」と呼ばれ神霊の通り道だと考えられてきた。そのため人間は左か右に寄って歩くことが慣わしである。

【手水舎で手と口を清める】
鳥居に入ると必ず手水舎(ちょうずや/てみずや)がある。ここで手と口を洗い清めるのだが、本来の目的は「穢れ(ケガレ)」を落とすことだ。神社は穢れを最も忌み嫌う。喪中期間(神道は50日)に参拝してはいけないのも同様の理由からである。そのため昔は河川や湧き水に全身を浸かり、禊(みそぎ)を行なっていた。しかし時代を経ると共に簡略化され、今では手水舎で清めている。

 ▼  まず右手に柄杓を持ち、水をくむ
 ▼  左手を洗い、左手に柄杓を持ち替えて、右手を洗う
 ▼  再び右手に柄杓を持ち替えて、左手で水を受け、その水で口をすすぐ
 ▼  もう一度、左手を洗う
 ▼  柄杓を立てて、こぼれた水で柄を洗う

 ※柄杓に口をつけるのは厳禁である。

【二礼二拍手一礼】
「二拝二拍手一拝」ともいう。いわゆる「両段再拝」の儀礼である。両段再拝とは「二度のおじぎを二回行なう儀礼」のこと。古代より日本独自の拝礼作法として、神様や貴人を敬い拝むときに行なわれていた。事実、『魏志倭人伝』にもその様子が登場する。二礼のうち、最初の礼は「おじぎ」を、次の礼は「祈り」を意味する。つづく二拍手は「気の浄化/武器を持っていないことの証/神様への賛美」を示す。そして最後の礼は「お参りさせていただいたことへのお礼」を表している。平安以降は、大陸との交流などによって宮中では行なわれなくなり、現在は神様に対してのみ行なわれる作法となっている。

 ▼  神前に進み、姿勢を正す(起立ではなく正座でもよい)
 ▼  二回深くおじぎをする
 ▼  肩幅程度に両手を開き、二度拍手を打つ
 ▼  もう一度、深くおじぎをする

※拍手を打つ際には、右手を少しずらし、左手の中指のほうが少し長くなるようにする。これは陰陽の考え方に由来する。左手は「陽=火=神霊」、右手は「陰=水=身体」を意味している。手を合わせることは「陰陽の調和」であるが、その際、陰が一歩引くことで「霊主体従(身体が神霊を敬う)」を表している。

 (お賽銭と鈴がある場合)
 ▼  神前に進み、姿勢を正す(起立ではなく正座でもよい)
 ▼  二回深くおじぎをする
 ▼  そっとお賽銭を入れ、つづけて鈴を鳴らす
 ▼  肩幅程度に両手を開き、二度拍手を打つ
 ▼  もう一度、深くおじぎをする

※賽銭は、神前のお供え物と一緒である。間違ってもオーバースローなどで投げ入れてはいけない。また、鈴はその清清しい音によって参拝者の心を清め、同時に神霊の発動を願うものとされている。


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